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2012/01/12

59th Annual Meeting ESJ


I will present two posters.



■種の多様性を規定する都市の景観構造

Ecological diversity of birds and insects in relation to the urban landscape structure

宮田弘樹(竹中工務店)、*伊勢紀(地域環境計画)、三輪隆・北野正人(竹中工務店)、三橋弘宗(兵庫県立大)、伊東憲正・鈴木明子(地域環境計画)

 COP10を契機に高まった生物多様性を高める取組みの中で、都市部においては、企業の事業所などで緑化が積極的に推進されつつある。一方で、そのような取組みが生物の生息空間としての価値に及ぼす影響は十分に把握されていない。
 本研究では、都内の大規模緑地およびその周辺地域に残された緑地の存在量や配置と、鳥類・昆虫類の出現状況の対応関係から、都市部における緑地のハビタットとしての価値を定量的に評価する事を試みた。
 生物データは、大規模緑地とその周辺の市街地においてラインセンサスを実施し、鳥類、昆虫類の出現種および個体数を記録した。自然教育園および木場公園を大規模緑地として、これらの緑地を中心に放射線状に約2kmのセンサスルートを6本ずつ設定した。調査は、鳥類、昆虫類それぞれ3季、各4回ずつ実施した。緑地の分布は衛星画像を用いて抽出し、面積や空間配置についてはGISを用いた計算を行った。
 解析では、確認種数、個体数を目的変数とし、緑地のパッチサイズおよび周辺の緑地の面積率により表現される連続性の指標を説明変数としたモデルを構築した。生物情報についてはその種が依存する環境に応じたグルーピング(森林性、草地性、水辺を必要とするグループ)の検討を行った。説明変数はパッチサイズや連続性の指標の閾値を変動させ、最も説明力の高いモデルの選択を行った。
 本発表では、以下の3つの仮説の検証を試みた結果について論考する。
   1.大規模緑地からの距離に応じて出現種数、個体数は減少する。
   2.飛び石状に残存する小規模緑地は一定面積以上存在すればコリドーとして機能する。
   3.樹林性の種、草地性の種では緑地の連続性への要求が異なる。


■名古屋中心市街地におけるチョウ類の移入と景観構造‐プランター設置による実証実験‐

Landscape structure mediated the butterfly colonization in central Nagoya city area; experimental setting of planters
 
*三輪隆・小島倫直・河崎泰了(竹中工務店)、伊勢紀・伊東憲正・澤田昭男(地域環境計画)、三橋弘宗(兵庫県立大)

 市街地の公園や建物周囲の植栽は、自然環境が極端に少ない都市部に残された貴重なハビタットとしての役割が期待される。ところが、市街地における植栽が生物の分布状況にどのように影響を与えるのかの実証的な研究は乏しい。そこで、本研究では名古屋市において、チョウ類の食草などを植栽したプランターを設置し、チョウ類の出現状況と周辺の景観構造との対応関係を明らかにすることを試みた。
 調査地は名城公園を北限とした名古屋中心市街地2km四方のエリアとした。調査地内に10ヶ所、上述のプランターを設置し、隔週でチョウ類の調査を実施し、種名・個体数を記録した。チョウ類の供給源となりうる緑地は、名城公園の他、市内に点在する公園緑地を空中写真判読で抽出した。これらの情報を元に、以下の2つの仮説の検証を行った。
 仮説1)都市域であっても近くにソースハビタットがあれば、食草のプランターを設置することでチョ     ウの来訪する可能性が高まる。
 仮説2)街中の緑は飛び石となってチョウの分散を助ける。
 解析では、供給源としての緑地サイズを考慮したプランター設置箇所までの距離(HanskiConnectivity指標)とチョウ類の出現状況を説明する回帰モデルの構築を行った。緑地サイズの影響についてはConnectivity指標の係数αを変動させ、最も当てはまりの良いモデルを選択した。
 結果、中心市街地に設置したプランター間の距離とチョウ類の種数には明確な関係が見出されず、大規模緑地からの距離が2km以内であれば、チョウ類はランダムに飛来することがわかった。また、中間の緑地の存在の有無は飛来するチョウ類の種数には影響を与えないことが示唆された。